MARUの思い出

介護の導入講習 ~クロックポジションを使った食事介助~

視覚障がい者に目の前の具体的な状況を説明する時に、とても有効なのが「クロックポジション」です。「クロックポジション」は、どこに何があるのかを時計の短針に例えて伝える方法です。実際に食事をのせるおぼんの大きさ、食器の間隔等を手で触れてもらいながら、時計の文字盤にそって説明します。視覚障がい者から見て、奥が12時、右方向が3時、手前が6時、左方向が9時になります。食事の食器の位置を例(※)にすると、「6時の方法に箸があります」「7時の方向にご飯があります」「12時の方向に焼き魚があります」といった形で、時計の針の位置を伝えることで視覚障がい者に方向を具体的にイメージさせることが可能です。しかし、熱いものや汁物などを直接、手で確認していただく時に気をつけなければならないことは「やけど」です。温度にも注意し、介助者が利用者の手をとって共に確認するなど、配慮することも大事です。実習を行う施設では、視覚に障がいを持った利用者に「クロックポジション」を使い、介助ができるように講習を行っています。

 

***実習生の様子***

視覚に障がいのある利用者のおやつにヨーグルトとペットボトル入りの飲み物が出された場合の介助を練習しました。トレーに見立てたハンカチの上に置かれたヨーグルトとスプーン、ペットボトルとストローの位置をクロックポジションを使って説明するのは比較的容易で、すぐに伝わりました。しかし、ヨーグルトをカップの底に残すことなくきれいに食べてもらうのは難しかったようです。うまく場所を探し当てて、すくい取ることがなかなかできないのを見ながら、自分が介助すれば、もっと楽に食べてもらえるのにと思ったかもしれません。一方で、時間がかかっても利用者が好きなものを好きな順番で自由に食べることができる態勢を作ることの大切さも理解していました。