入浴介助は、身体面の清潔以外にも、精神的なメリットも多くあります。定期的な入浴によって体を清潔に保つことは、意欲の向上といった社会的効果も期待でき、心身のリラックスももたらします。また、感染症予防の観点からも非常に重要です。不潔な状態が続くと、皮膚疾患や感染症、褥瘡(床ずれ)の原因にもなります。入浴してもらえば良いわけではなく、一人一人と向き合い、その日の体調やその方に合った入浴方法を確認しながら、最適な入浴介助につなげることが大切です。
入浴介助の講習を始めるにあたって、まず講師が確認したいことは、「服を着ている介護職の目の前にいる利用者は裸なので、恥ずかしい気持ちでいるはずだということを常に念頭に置いて介助しなければならない」ということでした。移動の際は腰にバスタオルを巻いたり、椅子に腰かけてもらった状態で全身を洗う際は陰部周辺にタオルを置いたりといった一つひとつの動きそれぞれに気持ちに寄り添った配慮があることを理解しながら練習しました。交代で利用者役になった際は、自分が利用者だったらどう感じるかを考え、ペアを組んでいる介護職役の仲間の気遣いのないやり方にダメ出しをし、二人でどうすればいいかを話し合ってより良いやり方を考え、試す様子も見られました。